作画風景4
惡忍−加藤段蔵無頼伝

惡忍−加藤段蔵無頼伝

作画風景4(お六、尻尾を掴む)
惡忍−加藤段蔵無頼伝 お六 下絵
今回は『惡忍−加藤段蔵無頼伝』コミックス2の巻)で弁天姉妹のお六(おりく)が「段蔵の策略の尻尾を掴んだ」としたたかに振り返っているシーンです。

ご覧のようにこのページには背景らしい背景はなく、唯一4コマ目の段蔵の足元に段蔵があわてて隠した段蔵の描いた一向一揆の版図が転がっているだけです。

これを見てお六が段蔵の策略を見透かしたシーンです。
惡忍−加藤段蔵無頼伝 お六 下絵
お六とお七の冠をスタッフに下書きしてもらいました。
惡忍−加藤段蔵無頼伝 お六  ペン画 一気にスタッフのペン入れも私のペン入れも終わってしまった所ですが、このページはここまでの経過を残せませんでした。(この企画を立ち上げて以来なるべく事ある事に経過を記録しつつ描いているのですがやはり・・・)

このページも先にスタッフに冠と4こま目の畳などをペン入れしてもらい、人物をペン入れする時には冠から垂れた飾りにマスキングテープを貼って髪の毛などをペン入れしました。



せっかくですので振り向く人物について一言。
漫画では人物が振り向くシーンというのは事ある事によくあります。このページのお六は密かに覗き見ているのでおもむろに顔を向けてませんが普段でも人間というのは振り向く時にそれほど首だけを回したりはしません。

「首だけを回したりはしません」と言っているのは人間は振り向く時に肩や腰を無意識のうちに回しています。何故かと言うと人間の首はそれ程回らないからです。

漫画では人が45度やそれ以上首だけを回して振り向いている絵をよく見かけますが実際の人間はそんな起用なマネは出来ません。45度はまだしもそれ以上であれば首が折れているかびっくり人間です。


惡忍−加藤段蔵 振り向き
ためしに鏡の前に横向きに立ち鏡に顔が正対するように回してみてください。ふつうに顔を正対させようとすれば自然と肩が後方に回ってしまっているはずです。

今度は肩を全く回さないようにして首だけを回して顔を鏡と正対させて見てください。正対させると言うことは鏡に映った自分の両方の耳が同じように見えるまで回すと言う事です、もちろん肩を回さないままで。ものすごい力を必要とする事が判ると思います。多くの人は出来ないかもしれません。

ようするに人間は普段、45度も首だけを回したりはしないという事です。

しかし、横を見るのも、後ろを振り返るのも案外簡単に出来る事なので45度くらい簡単に首は回るだろうと勘違いしてしまう人がたくさんいるのかも知れません。「肩を回さなくても横くらい簡単に見える」と・・・

でもその時、顔は45度も回っていないのですね。顔をそれ程回さなくても人間は目をさらに横まで向けれるわけです。

しかし、目のむいた方向まで顔も向いていると勘違いしてしまってる人も多いいような気がします。と言っても左の段蔵君は目が極端に切れ長で顔の横まで回ってますが・・・ま、こういう人もあまりいない、びっくり人間だとはと思いますが・・・でも、ご覧のように肩の方が回っています。

もちろん漫画ではびっくり人間(極端なキャラ)を描くのが王道ですのでいくらびっくり人間が出て来てもいい訳ですが、またギャグ漫画であれば当たり前の事ですし、時間がなければ「おかしなデッサン」と判っていても先に進めなければいけないのが漫画であったりするわけです。

と、こんなことを書いていたら「振り向かないかっこよさ」というのがあった事を思い出しました。
かつて映画『バットマン』の第一作目(ティム・バートン監督、マイケル・キートン主演)を見た時です。
バットマンは敵が横から現れても首をくるりと回して横を見るなんて動作をしない訳です。目でギョロっと睨むか対峙する場合は必ず肩や腰もほとんど捻らず体ごと真正面に向ける訳です。おそらくはあのバットマンスーツのせいなのでしょうが、頭にはすっぽり肩までを覆うラバー製のマスクですので簡単には横を向けない構造なのだと思います。が、しかしその動作が「かっこいいなぁ」と思ったものでした。


惡忍−加藤段蔵無頼伝 お六 スクリーントーン ・・・なんて、話がそれましたがスクリーントーンを貼って完成です。

お六の目にはしたたかさを示す大きな十字の光を入れました。

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