作画風景3(段蔵、一揆を語る))
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今回は『惡忍−加藤段蔵無頼伝』コミックス2の巻で段蔵が一揆についいて語っているシーンです。
「城だけを見据えて攻めようとしているとあたりの藪から雲霞(うんか)の如く百姓どもが湧き、一群の脇腹や尻に食らいつく〜」云々という語りでその具現化した絵を入れようとしています。
が、かなり複雑な絵になりそうだったのと、段蔵の頭の部分で絵が重なる構図となっているので下書きしている間に手前の段蔵の下書きが判らなくなってしまわないように先にペンを入れてしまいました。 |
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語りを具現化した絵の下絵です。
すみません、この項目一度当サイトのデザインを変更していた時に消してしまったようで・・・あわてて画像を引っ張り出してここに戻しましたがどんな説明を入れていたのかさっぱり忘れています。まぁ、たいした事は書いてなかったでしょう。とにかく「雲霞の如く湧き出る百姓どもに攻め立てられる朝倉軍」の想像図の下絵です。 |
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ペンを入れました。
人が沢山いるので大変です。が、ここまで入れたら全部入れてしまいたい勢いですがスケジュールの大幅遅れもありこの先はスタッフに渡す事にしました。
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スタッフが右の林と城を丁寧に下書きした所です。
そうそう左の方になにやらメモと「竹槍」と書いてありますが、一揆軍が手にしているのが矢尻の付いた普通の槍ではなく竹槍なのだと、ペン入れの時に間違わないように下書きの時にメモったものです。 |
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残りの人物と城と林をスタッフがペンを入れたものにさらにまた書き加えています。
人物にタッチを加え、下書きでは書いてなかった絵の中の水平線に近い奥の人たちも書き足しています。こういった、構図の中に水平線が存在する絵ではその水平線の辺りをしっかり描くかどうかでスケール感が全然違ってしまいます。この絵でいうと、いかに沢山の人々が蠢(うごめ)いているかどうかと言う所でしょうか。
血飛沫(ちしぶき)を飛ばし右の林も密度がなかったのですこしタッチを入れました。
水平線に近い部分というのは絵を描く事に慣れていない人にはなかなか厄介な部分であるようです。しかし絵を描く上では非常に重要な部分でもあります。
何故かと言うと水平線と言うのは『無限大の遠距離』を現すもので、水平線に近い部分では例えば地面に引かれた線が1mm上下にずれただけで数十キロ、数百キロ、はたまた数万キロと途方もなく距離が違って見えてしまう訳です。 |
逆に言うと、膨大な距離を表現できる貴重なスペースでもあるわけです。
しかしそこを全く逆にとらえて使ってしまう人をしばしば見受けます。思い込みで距離感を出そうとして距離感を台無しにしてしまう使い方とでもいうのでしょうか・・・特に絵を描き慣れていない人は必ずと言っていいほど逆に使ってしまうのですが・・・
それはまた説明しやすい構図の絵でもアップ出来ればその時にでも・・・・ |
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なんて言ってるうちにスクリーントーンも貼れて完成しました!
てなわけはない・・・もうとっくに完成はしています。
文字の入る所は読みやすいようになるべく白を残した、といった感じです。
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