作画風景1
惡忍−加藤段蔵

惡人・弁天姉妹

作画風景1(景政旅籠に現る)
冨田影政 下書き 作画工程を紹介しよう!と前振りをしていたたのだがやはりいざ作画中になるとなかなか途中経過をこまかくは残せないようで、その中でもわりと順序だてて残せていたのがこのページである。

構図的にはややおとなしいページだが、まぁ某侍が(ここまでの話を読んでいる方々にはわかると思うが)段蔵の元へやって来た、という所である。背景もそこそこあり漫画がどんな手順で作成されるかを見ていただくには丁度いいかもしれない。

ご覧の様にこれは下書きであり鉛筆で描いています。青っぽく見える所があるのは私の場合あたりを結構青鉛筆で入れたりするからである。

下のコマはご覧のようにやや俯瞰の和室。
この画像では薄くてわかり難いかもしれないが右上の一コマ目にも部屋の入り口のあたりをとってあります。

冨田影政 背景下書き あたりにそってスタッフに背景の下書きをしてもらいました。スタッフも青鉛筆を使ってパースを取っていたりしていますね。

なぜ青鉛筆を使うかと言うと決めの線を黒で判りやすくしたいためです、もちろん黒だけでやってしまっても全くOK。私もデビュー当時はこんな書き方をしていましたがその後10年くらいは黒のシャープペンシルだけでやっていました。

しかしなぜ数ある色のな中で青なのかと言うと青は活版印刷の場合印刷に出にくいからなのですが黒の混じった所謂紺色(下のコマの右の方に見える色)はやはりそのまま残すと印刷に出てしまいますね。しかし私は気にせず使っています。

薄い水色ではよく見えないんですね。それに最近の色鉛筆(シャープペンシルだったりしますが)は消しゴムで消せるものがありますのでまぁ何色を使っても大丈夫なのではないかな。
そうそう昔は黒もシャープペンシルを使っていましたがここ最近はもっぱら鉛筆です。それもご太いやつを探してきて使っています。芯もかなり太い柔らかいものです。真っ白い原稿に細いシャープペンシルでは繊細すぎて自分には合わないようで・・下書きは多少アバウト・・というか、太い芯を使っってちょっと繊細に、と言う感じのほうが自分には合っているようで・・・。
冨田影政 背景ペン入れ この原稿は背景を先にスタッフにペン入れしてもらっていますね。私はなるべく一話の最後まで下書きを先にする方なのでこういうパターンが多いです。でないと最後のほうは睡眠不足も蓄積されてくるので消耗しきってデッサンが取れない状態になってしまうのですね。

またペン入れもひじょうに時間がかかる方なので一つ一つ仕上げて行ったのでは真っ白の原稿を大量に残した常態でスケジュールの遅れがひどい事になっていまうからです。

冨田影政 人物ペン入れ 人物のペン入れが終わった所です。
かつては「かぶらペン」と「Gペン」が主だったのですがごく最近、というか丁度この原稿からですが「日本字ぺん」というのを使ってみました。

これはペン先がかなり反りあがっていてストロークした時に紙にソフトランディングするような造りのペン先なのですが、最初ちょっと違和感がありましたが元々わたしはペンをかなり立てて持つのでいいかもしれないと思った訳です。

ちょうど習字の筆を持つ感じですね、ふつうペンをそこまで立ててしまう人はいないと思うのですが、生まれつきかどうか私の右手首の関節は掌を机に平らに置くのが困難な造りでして、(左手は大丈夫なのですが)説明しにくいですがようするに右手の小指側の側面を下にして掌を机に対して90度よりも机に近づけるにはかなりの力を必要として手首に負担がかかってしまうわけです。
ですので結果、筆記用具は指先で軽くつまんでかなり立てて持たないと思うように動かなかったりするわけです。親指で描いてしまう事も多いですね。
冨田影政 ペン入れ完了 ペン入れした原稿に消しゴムをかけたところです、枠線からはみでてしまった所などがあればこの時にホワイトを入れますが、この原稿ではほとんどそういう所はないようです。

はみ出しが少ないようにペン入れの前に枠線の外側にマスキングテープを貼ってしまったりもします。特に大きな絵で髪の毛が枠に接したりしている時などはペンや筆をきっちり止めていたのでは流れが死んでしまうので、はみ出しを気にしなくてよいマスキングテープは有効です。

しかしたまにマスキングテープをはがす時に紙の表面までビリビリとはがれてしまう事があるので注意が必要です。
冨田影政 スクリーントーン スクリーントーンを貼って完成。

このページはあまりスクリーントーンの量が多くありませんがこの回の話では女性用の着物の柄をかなり複雑に付けたので大変でした。その成果があったかどうかは『惡忍−加藤段蔵無頼伝』コミックス2の巻を見てください。

ではまた・・・
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